ECサイトの課題の見つけ方と改善施策

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ECサイトの改善には、課題を特定し、PDCAサイクルを回すことが重要です。まず現在のサイトを分析して課題の仮説を見つけ、改善計画を立てて実行します。その後、効果を検証し、再度課題を発見して改善を繰り返します。多くの問題は集客、リピーター、顧客単価、購買率に該当しますが、課題を細分化して改善し、効果はCVR(コンバージョン率)の増減で確認し、売上増加を目指しますが、すべての課題に取り組むのは難しいため、優先順位をつけてインパクトの大きい部分から改善していくことが効果的です。

ECサイトの課題

世の中には多くのECサイトがありますが、多くの場合で次の4つの課題を抱えています。

  1. 集客
  2. CVR
  3. 顧客単価
  4. リピート率

ECサイトで成果を出すには改善し続ける必要がありますが、改善のためには課題がどこにあるのかを特定するところから始めます。

集客できない

ECサイトで大きな課題は集客が難しい、できないという問題です。サイトへのアクセスが少なければ売り上げを伸ばすことは難しく、サイトの認知がされていなければアクセスすらされません。一般的なWEBマーケティングで集客するためにはSEOとWEB広告が挙げられますが、特にtoCのサイトであればSNSは効果的です。商材とターゲット世代によってはInstagramは非常に強力な集客ツールになるため、SEO、WEB広告、SNSはセットで考えてください。

また、ECサイトの場合にはプラットフォームをどこにするかで集客できるかどうかが変わってきます。モールECに出店することでモールのブランドを活かして集客ができるという大きなメリットがある反面、集客できたとしても利益率が下がり、サイトのカスタマイズ性も落ちることになります。パッケージを使ったり、フルスクラッチで制作することで高い利益率を維持することはできますが、初期段階での集客には大きな課題を残すことになるため、自社のフェーズに合ったプラットフォームを選ぶことが重要です。

CVRが低い

CVR(コンバージョン率)が低いというのは、あらゆるサイトの課題ですが、ECサイトの場合にはコンバージョンとは商品が購入されたことを意味するため最重要指標の1つです。CVRが低い原因にはファーストビューや導線が悪いことが挙げられ、デザインやサイト設計を見直す必要があります。

ユーザーがどこで離脱したのか、なぜカゴに入れた後に購入しなかったのか、など段階的にサイト分析を行い、仮説検証により原因を絞っていくことが重要です。

顧客単価が低い

ある程度集客ができて、購入されるようになったとしても顧客単価は常に頭を悩ます問題です。顧客単価が低ければ商品を売っても利益を上げることは難しく、手間だけが増えるというようなことになりかねません。

顧客単価を上げるにはアップセルやクロスセルを行うのが一般的です。アップセルとは、より高額な商品を購入してもらうことであり、クロスセルとは、関連商品を一緒に購入してもらうことです。

ユーザーの過去の購入履歴から関連商品を表示したり、閲覧したことがある商品に関連した商品を出すというようなレコメンド機能の強化が必要ですが、クーポンを発行したり、購入特典を付けたりするような施策も有効です。

リピート率が低い

商品を購入してもらっても1度だけでは安定した売り上げには繋がりません。新規顧客を獲得することも重要ですが、リピート率を高めることができればストックビジネスに近いビジネスモデルを作ることができます。リピート率向上には顧客属性に合わせた個別アプローチやメルマガ配信、新商品の案内やクーポンの発行などの改善策が挙げられます。

ECサイトの改善点を見つける方法

サイトの種類や構成によってECサイトの改善点は異なりますが、多くの場合には次の3つを確認することで改善を見つけることができます。

  1. ボリュームゾーンの特定
  2. ランディングが多く、CVRの低いページの改善
  3. アクセスが少なく、CVRが高いページの改善

ボリュームゾーンの特定

ボリュームゾーンとは、アクセスの多いページのことです。コンバージョンを増やす場合にはアクセス数が多いページを改善した方が効果が出ることが多く、まずはアクセスの多いページ群を洗い出す必要があります。

アクセス数はGA4(Google Analytics4)を使うことで簡単に調べることができますので、まずはどのページのアクセスが多いのかを一覧にします。ほとんどの場合でトップページのアクセスが最も多いのですが、ECサイトではトップページからはコンバージョンしません。トップページの場合にはユーザーが次のどのように行動したのかを確認してください。カテゴリページや商品ページの場合には、なぜ購入に至らなかったのかをヒートマップツールを使って確認し、導線やデザインを見直すようにしてください。

ランディングが多く、CVRの低いページの改善

ランディングとはサイトの中で最初にたどり着いたページのことです。WEB検索や広告、SNSなどで商品を紹介すると必然的に商品ページがランディングページになりますし、サイト名で検索した場合にはほとんどの場合でトップページにランディングします。

商品ページにランディングしていてCVRが低い場合、クリック前の広告やタイトルと商品が大きく乖離していることが考えられます。また、情報が不足していることや金額が高すぎることなども購入に至らなかった理由として考えられます。

サイト分析ツールを使ってランディング後の滞在時間、次に遷移したページ、再訪問の有無、ページスクロールの深度などを細かく確認することで仮説と検証を繰り返して改善する必要があります。

アクセスが少なく、CVRが高いページの改善

アクセスが少なく、CVRが高いということは正しく商品に誘導できれば購入に至る可能性が高いことを意味します。トップページやカテゴリページの見やすい場所に商品を紹介したり、広告やSNSでの配信強化をすることでアクセスを伸ばすことができます。

キーワードによっては商品ページを強化したり、関連するコラム記事を追加することで検索順位の向上が見込めるため、検索回数が少ないキーワードであっても積極的にSEO対策することで徐々に効果が出てくる可能性があります。

ECサイト改善のための施策

集客の改善

集客とはECサイトの場合にはアクセス数のことですが、アクセスは新規ユーザーと既存ユーザー(リピーター)に分けられます。基本は新規ユーザーを増やしつつ、信頼を得てリピーターになってもらうことです。

リピーターに対する施策はクーポン配布、メールマガジンの配信、関連商品の割引、優待施策などが挙げられますが、新規ユーザーはSEO対策、WEB広告、SNSなどで新しく集める必要があります。

SEO対策

SEO対策とは検索エンジンの検索結果上位に表示されるような対策をすることで検索経由でのアクセス数を改善する施策のことです。広告のような即効性はありませんが、長期的に継続することで安定した集客をすることができるようになります。

ECサイトでは商品名や商品カテゴリを検索された際に上位に表示されるようなSEO対策もあれば、商品の使い方や選び方などを解説するようなコラム記事を投稿することでキーワードを獲得していくSEO対策(コンテンツSEO)もあります。

WEB広告

WEB広告は効果に即効性が高く、広告費をかければ一定の集客ができることから多くのECサイトで使われている集客手法です。代表的なWEB広告としては次のようなものがあります。

  • リスティング広告
  • ディスプレイ広告
  • リターゲティング広告
  • 動画広告
  • SNS広告
  • アフィリエイト広告

リターゲティング広告は一度サイトに訪れた人に対して配信する広告ですので再訪を促すものです。基本は確度の高いリスティング広告とインプレッション(表示回数)の多いディスプレイ広告を組み合わせることですが、商品によってはアフィリエイトがうまくはまったり、SNSによる配信が効果的なこともありますので商品特性に応じた使い分けが重要です。

SNSの活用

toCのECサイトではSNSは必須といってよいほど効果を出します。代表的なSNSとしてはX(旧Twitter)、Instagram、Facebook、TikTokなどが挙げられます。中でもInstagramでの集客力とXによる拡散力は強く、施策次第ではWEB広告より高い効果を挙げられることがあります。Facebook広告はビジネス寄りのものが多いのですが、ターゲットによっては商材とうまくはまることもあります。

ただし、SNSは世代、性別、職業などにより利用者層が大きく変わりますので、自社商品に合ったSNSを選択することが重要です。

利便性の改善

サイトの使い勝手を良くすることはユーザビリティの改善につながり、結果的に売上向上が見込めます。施策は細部にまで至りますが、ユーザーファーストを意識して問題を潰しきることで高いユーザビリティを発揮することは可能です。

商品を見つけやすくする

ユーザーがECサイトにアクセスしたということは何かしら欲しいものがあるためです。そのため、ユーザーが商品にたどり着くために、サイト導線を改善し、欲しいものを見つけやすくする工夫が必要です。

  • 商品を目立つ場所に配置する
  • 売上ランキングを作る
  • 関連商品、おすすめ商品を表示する
  • レコメンド商品を表示する
  • ナビゲーションをわかりやすくする
  • カテゴリを整理する
  • サイト内検索を充実させる

上記はすべて一例ですが、ユーザーが使いやすいサイトを目指すことが重要です。

カゴ落ちを減らす

カゴ落ちとは、商品をカートに入れた後に購入前に離脱することです。商品をカートに入れたということは興味関心は高いはずです。それでも購入に至らなかったということは、手続きがわかりにくい、面倒くさい、不信感や不安がある、カート前の金額と決済の購入の相違(配送料の高さなど)のような原因が考えられます。カゴ落ちを減らすだけでも売上は向上するため、丁寧に問題点を潰すようにしてください。

フォームの項目を減らす

購入時に個人情報や決済情報を入力することになりますが、入力項目が多いとそれだけユーザーが離脱する原因になります。特にスマートフォンでECサイトを閲覧しているユーザーも多く、サイトの使い勝手が悪いとそれだけで離脱することが考えられます。フォームは可能な限り項目を減らし、入力アシストをうまく活用してストレスなく入力できるようにする工夫が必要です。

モバイルサイトを強化する

WEBサイトはPCでもスマートフォンでも使えるようにするべきですが、サイトによっては8割以上がスマートフォンによるアクセスということは十分にありえます。スマートフォンでの使い勝手を改善することで売上が伸びる可能性があります。

表示スピードの改善

サイト表示はユーザーがストレスを感じるかどうかの重要な指標です。表示が早いことももちろんですが、分かりやすいシンプルなデザインにすることも重要です。すべてはユーザーが使いやすいようにという意識を持つことが大切です。

また、直接サイト速度に影響するわけではありませんが、サイト制作では次のような指標も重要です。詳細は割愛しますがサイト制作会社への制作依頼する際には、この点も確認する必要があります。

  • First Contentful Paint(FCP):最初のコンテンツ表示にかかるまでの時間
  • Largest Contentful Paint(LCP):メインコンテンツの読み込み時間
  • Cumulative Layout Shift(CLS):視覚的な安定性

信頼性の向上

集客し、サイトを改善したとしても、サイトへの信頼性が低ければ商品の購入には至りません。多少自社にとって都合が悪いことであっても、情報を発信することでユーザーにとってはプラスに作用することがあります。

商品のデメリットを入れる

商品の説明ページにデメリットを入れることは稀ですが、事例やレビューに加工せず、デメリットや改善点もそのまま出すことでユーザーの信頼を得ることができます。特にレビューで良いことばかりが書かれている商品は逆に信頼されないということがありますので、自社にとって悪いような内容であっても詳細まで出すことは重要です。

FAQを準備する

購入前にわからないことがあればFAQを確認することはよくあることです。FAQがなければ問い合わせをする必要がありますが、詳細まで説明することはストレスに繋がり、離脱してしまいます。ユーザーが知りたいだろうことを事前に準備し、分かりやすく説明することは大きくプラスに作用します。

利用規約やプライバシーポリシーを作る

ECサイトで利用規約やプライバシーポリシーは必須です。実際にユーザーが読むことは稀ですが、存在するかしないかは信頼に影響するため、必ずわかりやすい場所に表示してください。

まとめ

ECサイトの改善には課題の特定とPDCAサイクルの実施が重要です。集客、CVR、顧客単価、リピート率という4つの主要課題に対して、細分化と優先順位をつけた改善策が求められます。集客にはSEOやSNS、WEB広告が効果的で、CVR向上にはサイトデザインや導線の見直しが必要です。また、顧客単価を上げるためのアップセルやクロスセル、リピート率向上には個別アプローチやクーポン配布が有効です。改善のポイントはユーザーファーストの姿勢にあることは必ず押さえておいてください。

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ソフトコム編集局

京都でECサイト制作をしているソフトコム編集局です。
このよみものを通して、みなさまのECサイトの疑問やお悩みを解決していきます。

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